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            Kyushu Institute of Technology Academic Repository

 
Kyutacarは九州工業大学で生産された研究成果を
オープンアクセスで提供する機関リポジトリシステムです。
Kyutacar is open-access repository of research
by members of the Kyushu Institute of Technology.
 

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2021年オープンアクセスウィーク特別企画

10分で分かる「著者最終稿」

 

1. はじめに オープンアクセスウィークとは

オープンアクセスウィーク(Open Access Week: OAW)とは,2008年にアメリカSPARCと
学生コミュニティが立ち上げ,
以後毎年10月に開催されているイベントです。
2021年のOAWは
10月25日~31日です。

今年のテーマは
It Matters How We Open Knowledge: Building Structural Equity
いかに知識をオープンにするか 構造的公平性の構築を目指して です。

これはユネスコの「オープンサイエンスに関する勧告」を踏まえて設定されたものであり、
同勧告で求められている「知識の生産者・利用者全員の公平な参加」に焦点を当てているのだそうです。

2. グリーンOA

オープンサイエンスといえば、学術雑誌論文のオープンアクセスも話題になるところですが、
学術雑誌論文には執筆者がオープンアクセスにする費用を払いオープンアクセス化させる「ゴールドOA」と
機関リポジトリなどに掲載してオープンアクセス化させる「グリーンOA」というものがあります。
グリーンOAの場合、オープンアクセス化に伴う費用は発生しません。

グリーンOAは多くの出版社・学協会で認められているのですが、
その際「掲載する論文は
『著者最終稿』であること」とされる場合が少なくありません。

3. 本学の現状

本学リポジトリには研究者の皆様のおかげで毎年数多くの学術雑誌論文が登録されています。
その根幹を担うのが「大学評価データベース(評価DB)からのリポジトリ連携登録」機能です。
2020年度は評価DBからのリポジトリ連携登録依頼を565件いただきましたが、
「著者最終稿」が入手できないなどの理由で残念ながら63%が登録に至っていません

4. 「著者最終稿」の定義

「著者最終稿」ですがどんなものを指すのでしょうか。
本学リポジトリ(https://kyutech.repo.nii.ac.jp/)では以下のように定義しています。

「著者最終(原)稿」とは、
『出版社の編集作業が加わってない状態のもので、
 
論文の内容は雑誌に掲載されたものに限りなく近い原稿のことです。』

もう少し具体的には、
 ・巻号・DOI・ページ番号が未確定
 ・manuscript等の記載がある
 ・印刷用のトンボがある
などがあげられます。

また、著者最終稿に対して印刷されたものや、出版社・学協会webページに掲載されるものを
「出版者(社)版」と呼んでいます。

5. 本学リポジトリからの具体例

上記を踏まえて、ここ1~2年の本学リポジトリに登録されたものから見ていきましょう。

A. Wordで書かれたものが著者最終稿のパターン

Advances in Structural Engineering (Sage Publications)

Bio-Medical Materials and Engineering (IOS Press)

The Canadian Journal of Chemical Engineering (Wiley)
*原稿1ページ目上部の"This is the peer reviewed version of the following article:~"は
Wiley社からリポジトリに掲載するにあたり論文に記述するよう指定されている文面で、
図書館のリポジトリ担当が記述しています。

B. 出版社側が著者最終稿であることを印字しているパターン

1)Direct Azidation of Phenols
European Journal of Organic Chemistry (Wiley)
*テキストの背後に大きく"Wiley-VCH"の印字があります。
WileyのWebページで公開されている出版者版にはありません。

2)Explosive crystallization of sputter-deposited amorphous germanium films by irradiation with an electron 
beam of SEM-level energies

Journal of Applied Physics (AIP Publishing)
*原稿の1ページ目に"ACCEPTED MANUSCRIPT"の記載があります。

3)Performance Evaluation of Numerical Finite Element Coupled Algorithms for Structure–Electric Interaction 
Analysis of MEMS Piezoelectric Actuator

International Journal of Computational Methods (World Scientific Publishing Company)
*"manuscript-ijcm"の記載とトンボ(トリムマーク)があります

4)Calculation of RF sheath properties from surface wave-fields: a post-processing method
Plasma Physics and Controlled Fusion (IOP Publishing)
*"Accepted Manuscript"の記載あり。
DOIの記載がある著者最終稿は珍しいかもしれません


5)Development of laser speckle blood flowmeter for evaluating the physiological function of skin
Biomedical Physics & Engineering Express (IOP Publishing)
*"AUTHOR SUBMITTED MANUSCRIPT "の記載あり。
また、ページ左に行番号が振られている。


C. テンプレートの表記があるもの

1)Consideration on appearance and disappearance of energy in superconductors during change in 
external magnetic field

Japanese Journal of Applied Physics (応用物理学会)
*"Template for JJAP Regular Papers"の記載あり

2)Simulations on the Effect of Magnetic Anisotropy on Switching of an Easy Cone Magnetized Free Layer
IEEE Transactions on Magnetics (IEEE)
*"©20XX IEEE"の記載あり
 

コラム 「著者最終稿」は出版(者)社版より劣るのか?

紙の時代には、学術の唯一の記録はジャーナルに記載されたVoR(Version of Record: 出版されたもの)とされていました。
ARL(北米研究図書館)はそれについて2021年7月に下記のような声明を出しています。
「新しい出版方法や他の研究成果物(ポストプリント、プロトコル、データ、コードなど)の出版により
「記録のバージョン(version of record)」という用語は全く無意味なものになってしまった。
学術コミュニケーションの世界は「複数のバージョンの記録(record of version)」と呼ばれるものに移行している。
つまり、現在においては論文の各バージョンに価値があると、主張しています。

《参考》
尾城孝一. 機関リポジトを取り巻く諸問題: マクロな視点から.学術情報オープンフォーラム2021. 2021.7.8
https://www.nii.ac.jp/openforum/upload/84b8161429470e01355557aca1f95c5a93e9e742.pdf
ARL Blog. Persistent Identifiers Connect a Scholarly Record with Many Versions.2021. 2. 18
https://www.arl.org/blog/persistent-identifiers-connect-a-scholarly-record-with-many-versions/


 

6. さいごに

今回取り上げたのはほんの一例です。
ご質問等ありましたらお気軽にお問い合わせください。

図書館がみなさまの研究成果のオープンアクセス化をお手伝いいたします。

【リポジトリ担当】
情報基盤課図書館サービス係
Tel: 093-884-3073
Mail: kyutacar(at)jimu.kyutech.ac.jp
 
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