@phdthesis{oai:kyutech.repo.nii.ac.jp:02000124, author = {間山, 一枝}, month = {2023-09-27}, note = {1. はじめに| 2. ⽅法| 3. 結果| 4. 考察| 5. 総論, 大学ならびに大学院の授業は,事前に公開されているシラバスが最初の入口となる。シラバスは科目の計画表であり目的や内容が記されていることから,教員が授業の中で伝達するキーワードはシラバスに沿った内容で構成され,学生が授業の内容を理解していく上で重要な役割を担っている。そのため学生の記憶向上に有効なキーワードを提示することは,授業への理解度を高めることにつながると考える。 本研究の目的は,工学系大学ならびに大学院の授業の中で使用されたキーワードの形状のうち,文字数,品詞の組み合わせのそれぞれについて学生の記憶割合との関連を分析し学生の記憶向上に有効なキーワードの最適な文字数と品詞の組み合わせを提案することである。 研究対象は,教育研修支援システム;KWM(Key Words Meeting)のWeb版を用いて行われた2014年度から2018年度の5年間の工学系大学の学部及び同大学大学院の授業である。対象とした学部の授業は1科目全54回,履修学生数は延べ263人,大学院の授業は延べ23科目全209回,履修学生数は延べ475人であった。対象としたキーワードは,授業を担当する教員が各授業終了後にKWM上に確定したメインキーワード(以下,M-kw)と,それに付随するサブキーワード(以下,S-kw)である。キーワードの数は,学部の授業はM-kwが271個,S-kwが1,064個,大学院の授業はM-kwが986個,S-kwは3,434個であった。 文字数及び品詞の組み合わせは,それぞれをカテゴリーに分け,カテゴリーごとに記憶割合との関連を分析した。文字数のカテゴリーは,各カテゴリーのキーワード数が均等になるように分け,学部の授業,大学院の授業ともにM-kwのカテゴリー数は4,S-kwのカテゴリー数は5とした。品詞は形態素解析ツールのMeCabを用いて解析を行い,カテゴリー1(名詞のみで英語・数字・記号を含むもの),2(名詞のみで英語・数字・記号を含まないもの),3(名詞と助詞の組み合わせ),4(動詞か助動詞を含むもの),5(括弧を含むもの)の5つの組み合わせに分けた。分析データは,学部の授業は形態素解析が不完全もしくは不適切であったキーワードを除外または品詞の修正の処理を行なったものとこれらの処理を行わなかったものを使用し,処理前後での比較を行なった。大学院の授業はデータの処理を行なったものを使用した。さらに科目内容の関連を調べるため,大学院の授業については,2015年度の工学系の授業と社会学系の授業の間で比較を行なった。 文字数と記憶割合との関連の分析の結果,学部の授業では,M-kwがカテゴリー1(3~6文字),S-kwがカテゴリー4(10~16文字)の記憶割合が有意に高かった。大学院の授業では,M-kwがカテゴリー3(11~17文字),S-kwがカテゴリー1(1~6文字)の記憶割合が有意に高かった。また,工学系の授業では,M-kwがカテゴリー2(12~20文字),S-kwがカテゴリー1(3~9文字)の記憶割合は有意に高く,社会学系の授業ではMkwがカテゴリー4(15~50文字),S-kwはカテゴリー3(14~17文字)の記憶割合が高い傾向であったが,統計的に有意な差は認められなかった。 品詞の組み合わせと記憶割合との関連の分析の結果,学部の授業では,M-kwがカテゴリー3(名詞と助詞の組み合わせ)の記憶割合が高い傾向であったが,統計的に有意な差はなく,S-kwはカテゴリー5(括弧を含むもの)の記憶割合が有意に高かった。一方,大学院の授業では,M-kwがカテゴリー5(括弧を含むもの)の記憶割合が有意に高く,S-kwはカテゴリー4(動詞か助動詞を含むもの)の記憶割合が高い傾向であったが,統計的に有意な差は認められなかった。工学系の授業では,カテゴリー間で有意差は認められなかったが,M-kwがカテゴリー1と2(名詞のみのもの),S-kwはカテゴリー2(名詞のみで英語・数字・記号を含まないもの)の記憶割合が高い傾向であり,社会学系の授業ではM-kw,S-kwともにカテゴリー4(動詞か助動詞を含むもの)の記憶割合が高く,M-kwは統計的に有意な差は認められたが,S-kwはカテゴリー間で有意差は認められなかった。 このことから,学部の授業では,M-kwは授業の内容を端的に表すため文字数は少なく主に名詞を含むキーワード,それに対してS-kwは,M-kwを補足説明するため,文字数が多く括弧を含むキーワードが有効であったと考える。大学院の授業についてはM-kwの文字数がS-kwよりも多くなる傾向がみられたが,M-kw,S-kwともに工学系の授業が名詞のみの組み合わせである一方,社会学系の授業は動詞か助動詞を含む組み合わせの記憶割合が高い傾向であり,工学系は専門用語等の名詞が主であるもの,社会学系は文章形式のキーワードが記憶に残りやすいと考えられる。 教員が授業の内容をわかりやすく伝達するためには,シラバスでの授業計画の事前開示の他,授業で使用する教室の環境や媒体,教員自身の経験や話し方のスキル,使用するキーワードの形状など様々な要素を検討する必要がある。しかしながら,その中でもキーワードは授業の基調となるシラバスに沿った内容であることから,授業で伝達したキーワードと学生の記憶状況の関連を分析し,最適な文字数や品詞の組み合わせを提案することは授業の改善の一助になると考える。 本論文は全5章で構成される。1章のはじめにでは,日本の高等教育の社会的背景に触れ,授業におけるキーワードの重要性について述べる。2章は方法である。分析対象の概要やキーワードの分析方法について述べる。3章は結果である。キーワードの文字数及び品詞の組み合わせと学生の記憶割合との関連についての結果を述べる。4章は考察である。はじめに及び方法で述べた内容を振り返り,分析結果からのキーワードの最適文字数と品詞の組み合わせの提案,授業改善のために必要な要素について述べる。5章は総論であり,本論文のまとめと今後の展望について述べる。, 九州工業大学博士学位論文 学位記番号:生工博甲第465号 学位授与年月日:令和5年6月30日, 令和5年度}, school = {九州工業大学}, title = {キーワードの形状と学生の記憶状況との関連 ―高等教育機関での授業データを用いて―}, year = {}, yomi = {マヤマ, カズエ} }