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  1. 学位論文
  2. 学位論文

鉄鋼スラグによる微細藻類の増殖促進とその作用機序に関する研究

https://doi.org/10.18997/00006696
https://doi.org/10.18997/00006696
4631e5f9-bed1-4af2-96fe-a72dff861d45
名前 / ファイル ライセンス アクション
sei_k_284.pdf sei_k_284.pdf (3.5 MB)
アイテムタイプ 学位論文 = Thesis or Dissertation(1)
公開日 2018-03-30
資源タイプ
資源タイプ識別子 http://purl.org/coar/resource_type/c_db06
資源タイプ doctoral thesis
タイトル
タイトル 鉄鋼スラグによる微細藻類の増殖促進とその作用機序に関する研究
言語 ja
タイトル
タイトル Study of Growth Promotion and Mechanism of Microalgae by Steel Slag
言語 en
言語
言語 jpn
著者 野上, 礼次郎

× 野上, 礼次郎

ja 野上, 礼次郎

ja-Kana ノガミ, レイジロウ

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抄録
内容記述タイプ Abstract
内容記述 二酸化炭素などの温室効果ガス増加に起因する気候変動は、世界的に深刻な環境問題の一つである。そのため、バイオマス生産による炭素固定の可能性について注目が集まっており、特に、植物バイオマスより高い生産性を有する微細藻類が注目されている。微細藻類は高等植物の祖先とされ、淡水域から海水域まで多様な環境に生息するマイクロサイズの藻である。二酸化炭素を固定して光合成を行う独立栄養性の種から、培地中の糖などを取り込み、呼吸によって生育する従属栄養性の種まで幅広く存在する。増殖にはリン(P)や窒素(N)といった増殖に必要な元素のほか、鉄(Fe)やマンガン(Mn)や銅(Cu)といった微量元素を要求する。気候変動への対応策に限らず、微細藻類は化粧品や食品、医薬品、燃料などの潜在的な供給源としても期待されている。微細藻類による有用物質の生産には、培養→回収→目的産物の抽出という工程が存在する。各段階の収率を考慮すると、培養工程における微細藻バイオマスの生産性向上が課題である。微細藻バイオマスの生産性向上を目指す取組みとして、優良株の選抜や遺伝子改良などの手法が挙げられるが、多くの手間と時間を必要とする上に、遺伝子的に改良された微細藻の屋外での培養は、厳しく制約される。一方、より簡便な手法として、植物ホルモンやオリゴ糖類に代表される増殖促進剤を微細藻類の培地へ添加する手法がある。微細藻類の増殖促進効果は、グルコースなどの炭素源や尿素などの窒素源を添加することによっても容易に達成される。しかしながら、これらは、比較的高価なため、より費用対効果の高い増殖促進剤として未利用廃棄物の活用が期待される。鉄鋼スラグは、鉄鋼生産の副生産物である。その化学組成として藻類の増殖に必要なFeやP、Mg、Ca、Mnを含むため、藻場再生の肥料として利用が検討されている。鉄鋼スラグの代表例である製鋼スラグ(SMS)の成長促進効果は、大型藻類だけでなく、いくつかの海洋性微細藻類でも報告されている。しかしながら、淡水性微細藻類に対しては、クロレラを除いてこれまでに検討されていない。そこで本研究では、まず有用物質を生産する淡水性微細藻類として、スピルリナとボトリオコッカスを対象として、SMSを添加して培養を行い、それらの増殖と代謝に及ぼす効果を検討した。SMSによる微細藻類の増殖促進効果の作用機序は未だ解明されていないが、“鉄仮説”(栄養塩類が豊富にも関わらず植物プランクトンが少ない海域に鉄を散布するとバイオマス生産が回復するという現象)に基づく、光合成に必要な元素である鉄の溶出に基づくとする説や、pH上昇に付随する培地中への溶存二酸化炭素濃度の上昇によって光合成が促進されるとする説など、これまでにいくつIIかの仮説が提唱されるに留まっている。一方で、海水あるいは淡水中におけるSMSからの様々な元素の溶出挙動は、溶解度図を用いて検証されてきた。溶解度図は、異なる濃度およびpHにおける安定な化学種に関する情報を提供するため、イオンの析出や固体からの溶出挙動を理解する上で有用である。SMSによる微細藻類の増殖促進効果を解明するためには、その溶出挙動を把握することが重要であり、溶解度図が有効なツールになると考えられる。そこで、微細藻培養時の培地中へのSMSの溶解度図を作成し、微細藻類の増殖および代謝とその関連酵素の働きをSMSの溶出挙動と照合し、SMSの作用機序を解明することを目的とした。本論文は、以下の内容で構成されている。第1章において、研究背景と研究目的を示している。二酸化炭素濃度上昇に起因する地球温暖化や化石燃料の枯渇および食糧問題を背景に、微細藻類が近年注目を浴びるに至った理由を述べている。特に、本研究で対象とする、ボトリオコッカスとスピルリナの特徴について触れ、これらの微細藻類を増殖させ、それぞれの有用な代謝物を増産させることの意義を述べている。先ず、微細藻類による有用物質生産の実用化に向けた課題として、微細藻類培養の生産性向上を挙げた。SMSによる微細藻類の増殖促進効果に関する研究動向を概説し、SMSに含まれる成分の何がどのように増殖促進に寄与しているのか未だ解明されていないことを示した。作用機序の解明には、微細藻類の増殖とスラグ成分の溶出の両者を照合させる検討が必要である。そのための方法論として、溶解度図の適用が効果的であると考えられた。溶解度図とは元素濃度とpHの関係を表した図であり、元素濃度と水中のpH状態によってイオン状態や錯体、固体の形成を知ることのできるツールである。そこで、微細藻スピルリナとボトリオコッカス培養時の培地中の各元素成分の溶解度図を作成し、SMSによる微細藻類の増殖および代謝とその関連酵素の働きをSMSの溶出挙動と照合し、SMSの作用機序との関係を検討した。第2章では、炭化水素を生産する淡水性微細藻であるボトリオコッカス(Botryococcus braunii NIES-2199)に対するSMS添加の効果について検討を行なった。まず、SMSはボトリオコッカスに対して濃度依存的に増殖促進効果を示した。また、高炉スラグの添加によってもボトリオコッカスの増殖が促進した。次に、脂質の蓄積を検討したところ、脂質もSMSの濃度依存的に増産されることが初めて確認された。さらに、クロロフィルa(Chl a)濃度もSMS濃度依存的に増加することが明らかとなり、クロロフィルa/b比(Chl a/b)の増加が増殖を促進させていることを示唆する結果が得られた。ただし、SMSの添加は、培地のpHを上昇させるため、SMS添加区の溶存二酸化炭素濃度が、対照区の10III倍に達することが推定された。そのため、SMS由来の鉄による効果か、溶存二酸化炭素濃度の上昇による光合成の促進か明らかでないため、鉄の溶出による効果を第3章で検証した。第3章では、SMSからの鉄の溶出の影響を検証するため、培地から鉄を欠乏させた条件下でボトリオコッカスの培養を行なった。鉄欠乏条件において、SMSから溶出したFeが、Chl aの蓄積に顕著な効果を示すことが明らかになった。また、SMS添加によって、代謝物の組成が変化することから脂質生産のテーラーメイド化につながると考えられた。第4章では、これまでのSMSの影響に関する検討が淡水や海水といったpH中性付近に限定されていたことから、アルカリ環境で生息するスピルリナ(Arthrospira platensis M135)に対して検討を行なった。SMSは、スピルリナに対しても濃度依存的な増殖促進効果を得た。また、SMSの添加により代謝物であるタンパク質の増産も可能であることが示唆された。ここで、SMSからの金属溶出による酸化ストレスに対する生物応答として、抗酸化酵素スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の活性を測定した。その結果、SOD活性の変化からも、SMSから溶出したFeがスピルリナの増殖に対して影響を及ぼす因子であると考えられる。第5章では、スピルリナの同種異株である(Arthrospira platensis NIES-39)に対するSMSの効果を検討した。その結果、A platensis M135と同様にSMSによる増殖促進効果が見出された。培地成分の元素濃度変化を、ICP発光分光分析法による培地の元素濃度の測定結果とpH測定結果とを組み合わせることにより溶解度図を作成した。これにより、各培養日数における培地の各元素の態様と増殖挙動との関連を理解することが可能となった。SMSから溶出する元素のうち、特にFeが微細藻の増殖に影響を与えることが明らかとなった。実験区で最も高いSMS添加濃度5g L-1において、最大の増殖促進が認められ、細胞を加えない場合には5g L-1で最もFeが溶出していたことから、培養開始時に溶解しているFeを取り込むことにより、増殖促進効果を示したと考えられる。一方で、溶解度図から、培地中の鉄イオンは水酸化物を形成し沈殿することが示唆された。SMSからのCa溶出に起因する水酸化鉄の形成と考えられた。その裏付けとして、SMS添加濃度5g L-1の場合に、培養後期の抗酸化酵素活性スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性の有意な減少が認められた。スピルリナのSOD活性は鉄濃度に依存的であるため、溶解度図の示唆する鉄イオンの減少を実験的に支持しており、微細藻類の増殖挙動の理解に溶解度図を適用することの妥当性を示す結果である。第6章では、総括と結論を述べた。鉄鋼スラグの添加により、淡水性微細藻類の増殖を促進する結果を得た。鉄鋼スラグの添加により、ボトリオコッカスにIV対しては脂質の生産を促進することができ、スピルリナに対してはタンパク質の生産を促進することができた。鉄鋼スラグの添加による微細藻類の増殖挙動の理解に、溶解度図の適用という手法が有用であることを示すことができた。溶解度図の適用により、鉄鋼スラグによる増殖促進の傾向と溶解度図上のデータの軌跡を照合させることで、複数の元素の中から、増殖促進に効果を及ぼしたと考えられる元素を特定することができた。
目次
内容記述タイプ TableOfContents
内容記述 第1章 序論||第2章 ボトリオコッカスの増殖に対する製鋼スラグおよび高炉スラグ施用の効果||第3 章 窒素または鉄欠乏環境下でのボトリオコッカス増殖への製鋼スラグの効果||第4章 スピルリナの増殖に対する製鋼スラグ施用の効果||第5章 スピルリナの増殖促進メカニズムを理解するための溶解度図の適用||第6章 総括
備考
内容記述タイプ Other
内容記述 九州工業大学博士学位論文 学位記番号:生工博甲第284号 学位授与年月日:平成29年3月24日
キーワード
主題Scheme Other
主題 微細藻類
キーワード
主題Scheme Other
主題 鉄鋼スラグ
キーワード
主題Scheme Other
主題 増殖促進
キーワード
主題Scheme Other
主題 溶解度図
アドバイザー
西田, 治男
学位授与番号
学位授与番号 甲第284号
学位名
学位名 博士(工学)
学位授与年月日
学位授与年月日 2017-03-24
学位授与機関
学位授与機関識別子Scheme kakenhi
学位授与機関識別子 17104
学位授与機関名 九州工業大学
学位授与年度
内容記述タイプ Other
内容記述 平成28年度
出版タイプ
出版タイプ VoR
出版タイプResource http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85
アクセス権
アクセス権 open access
アクセス権URI http://purl.org/coar/access_right/c_abf2
ID登録
ID登録 10.18997/00006696
ID登録タイプ JaLC
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Ver.1 2023-05-15 12:48:12.346130
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