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大学とは何か ―イェール報告とCharles William Eliotのハーヴァード大学長就任演説を読み直すー
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http://hdl.handle.net/10228/0000813725606d86-72d8-4b95-a9a2-324c7b2a62d0
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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Item type | 学術雑誌論文 = Journal Article(1) | |||||
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公開日 | 2021-04-05 | |||||
タイトル | ||||||
タイトル | 大学とは何か ―イェール報告とCharles William Eliotのハーヴァード大学長就任演説を読み直すー | |||||
言語 | ||||||
言語 | jpn | |||||
資源タイプ | ||||||
資源タイプ識別子 | http://purl.org/coar/resource_type/c_6501 | |||||
資源タイプ | journal article | |||||
著者 |
大野, 瀬津子
× 大野, 瀬津子 |
|||||
抄録 | ||||||
内容記述タイプ | Abstract | |||||
内容記述 | 日本の大学では文科省主導の改革が進行している。文科省は、「変化する社会状況」や「社会において求められる人材の高度化・多様化」を根拠に、「社会や地域のニーズ」に合った改革の必要性を説いてきた。社会が変わったことを一つの名目として、大学は急激な、そして絶えざる変革を迫られている。しかし広田照幸も指摘するように、学外者に主導されてきた「消費者のニーズ」優先の一連の改革は、大学が目指すべき「理念」や「哲学」を欠いている(広田65)。かといって、ドイツ市民を「教養市民」とそれ以外の「所有市民」に分断し、対立を生んでしまった19世紀ドイツの自律的な大学モデル(田中29)に先祖返りすることも許されない。では大学が一定の独立性を保ちつつも、一般市民社会に向けて自らを聞いていくにはどうすれば良いのか。学問府としての自律と社会への利益の還元をめぐる大学のジレンマは、今に始まったことではない。舞台をアメリカに移せば、大学は実社会の役に立たない、社会の変化に応じて大学も変わるべきだ、という大学批判が本格化するのは1820年代のことだった(Winterer 47-48)。こうした声に対し大学がどのように応答したかを見ておくことは、同様の窮地に立たされた大学を今まさに目撃している私たちにとって無駄にはならないだろう。本稿では、イェール大学関係者によるイェール報告(1828)と、Charles William Eliotのハーヴァード大学長就任演説(1869)を考察対象とする。この二つを取り上げるのは、両方とも大学批判への応答という側面をもつとともに、19世紀アメリカ大学史の領域で、両者がそれぞれ重要な影響を及ぼしたとされ、かつ対照的な位置づけをなされているからに他ならない。大学史の先行研究は、ラテン語・ギリシア語など古典語の単位を卒業要件とする必修制から、古典語を履修しなくても学士号を取得できる選択制へと移行したカリキュラム転換期として19世紀アメリカの大学を記述してきた。伝統的な大学史研究のなかで、古典語を核とするカリキュラムの維持を訴えるイェール報告は、アメリカの大学への全面的な選択制の導入を40年間押しとどめてきた保守派の牙城とみなされてきた。対照的に、Eliotのハーヴァード大学長就任演説は、古典語科目を特権化しない全面的な選択制の導入を提案した改革論と目されている。たしかに古典語中心のカリキュラムを存続させるか変革するかの態度において、イェール報告とEliotの演説は好対照を成している。だが、両者とも単なるカリキュラム論ではなく、大学はどのような場であるべきかをめぐる大学論でもある。この観点に立てば、両テクストには多くの類似点があることに気付く。実際、近年ではイェール報告再評価の波に伴ない、二つのテクストが基本的な教育観を共有している、との見方も登場してきた。本稿ではその指摘の妥当性を裏づけつつ、大学改革を迫る外圧への応答、さらに大学を一般社会に開いていく際の姿勢についても、両大学論が共通していることを明らかにする。この考察が大学、ひいては一大学人としての私たち自身のありようを再検討するための一助となることを願う。 | |||||
書誌情報 |
Kanazawa English Studies 号 31, p. 49-63, 発行日 2020-03-31 |
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出版者 | ||||||
出版者 | 金沢大学英文学会 | |||||
ISSN | ||||||
収録物識別子タイプ | ISSN | |||||
収録物識別子 | 0449-7449 | |||||
NCID | ||||||
収録物識別子タイプ | NCID | |||||
収録物識別子 | AN00002874 | |||||
日本十進分類法 | ||||||
主題Scheme | NDC | |||||
主題 | 377 | |||||
著作権関連情報 | ||||||
権利情報 | 金沢大学英文学会 | |||||
出版タイプ | ||||||
出版タイプ | VoR | |||||
出版タイプResource | http://purl.org/coar/version/c_970fb48d4fbd8a85 | |||||
論文ID(連携) | ||||||
10362832 | ||||||
査読の有無 | ||||||
値 | no | |||||
研究者情報 | ||||||
https://hyokadb02.jimu.kyutech.ac.jp/html/159_ja.html | ||||||
連携ID | ||||||
8661 |