@phdthesis{oai:kyutech.repo.nii.ac.jp:00007713, author = {湯淺, 一史}, month = {2022-06-15}, note = {第1章 背景||第2章 目的||第3章 直流V2B(Vehicle to Building)によるEVのDSR適用可能性(多様化)||第4章 太陽光併設蓄電システムの自家消費型長期運用戦略(運用効率化)||第5章 資本資産価格モデルによる蓄電システムの多目的運用戦略(適用領域拡大)||第6章 結論, 太陽光発電の世界全体の累積設置容量は,2008年から2018年の10年間で約35倍になった.太陽光発電のみならず,風力発電やバイオマス発電などの再生可能エネルギーの社会実装が急激に進み,その導入コストは従来の化石燃料由来の火力発電と同等水準以下になりつつある.こうした状況から,電力システムは従来の集中型から分散型に大きくシフトしつつある.このドラスティックな社会システムの変化は,低炭素化・脱炭素化を促進し,持続可能な社会を実現する点において歓迎すべき変化といえる.ところが,再生可能エネルギーの大量導入は電力の安定供給という側面では課題も見え始めている.出力が変動的な再生可能エネルギーの割合が多くなることで,電力の需要と供給のバランスを維持するのが難しくなりつつあり,大規模停電のリスクなども顕在化し始めている.日本政府は,このような状況を鑑み,電力の安定供給を維持するため需給のインバランスリスクに対する調整力(供給区域における周波数制御,需給バランス調整その他の系統安定化業務に必要となる発電機等の能力)や予備力(供給区域の調整力以外の発電機の発電余力と上げ調整力(供給区域の余剰インバランスの発生に対応するための調整力)を足したもの)を,一般の事業者から広く安定的に,かつ,安価に調達するため新しい電力取引市場の創設を進めている.新しい電力取引市場では調整力,予備力,環境価値などの従来の電気が様々な経済的価値に分離され取引可能となる見込みである.こうした市場環境の変化を踏まえ,需要家にエネルギーサービスを提供する多くのエネルギーサービスプロバイダーが,新市場への参入を狙い需要家側に設置されるエネルギーリソース(Demand Side Energy Resource, DSR)の獲得や技術開発を進めている.中でも定置型リチウムイオン蓄電池や電気自動車などの蓄電システムはその出力安定性や応答性から最も期待の高いDSRの一つである.しかしながら,これらの蓄電システムが電力の安定供給や地球環境問題に貢献し,新しい電力インフラの中核を担うエネルギーリソースとして社会実装されるためには,その導入コストがボトルネックである.このため,蓄電システムの性能や特性を十分把握した上で,効率的かつ効果的に運用し,長期的視野で経済合理性を確保するための運用制御技術の確立が最重要課題である.本研究の目的は,需要家の受電点以下(Behind-the-Meter)に接続される蓄電システムを対象に,蓄電システムのDSRとしての性能評価や適用可能性を分析し,多様な電力価値に対するエネルギーサービスプロバイダーの効率的かつ経済的な新しい運用戦略を提案し,その有効性を確認することである.本論文は,上記目的を達成するため,下記に示す三つの研究から構成される.I. 電気自動車(Electric Vehicle, EV)のDSRとしての性能と適用可能性に関する研究 II. 太陽光による正味負荷の長期変動性を考慮した自家消費型運用戦略に関する研究 III. 金融工学のポートフォリオ理論を適用した多目的運用戦略に関する研究 研究Iでは,双方向コンバータを介してEVと建物間で電力の授受を行う,Vehicle to Building(V2B)技術を活用しEVのDSRとしての性能と適用可能性を実証実験により確認した.結果,EVに制御指令を与えた場合の応動時間,出力安定性を実験的に確認し,2021年から段階的に開始される需給調整市場の各商品要件に対してDSRとして適用可能な見通しを確認した.研究IIでは,太陽光併設型の蓄電システムにおいて,長期的な正味負荷の変動性を考慮した運用戦略を提案し,需要家内の再生可能エネルギー比率(Renewable Energy Ratio, RER)の期待改善効果を数値解析により導出した.結果,提案戦略を適用することで,従来戦略に比べてRERが最大16.7%改善することを確認し,2025年度の市場環境下では電力コストが最大48.0%の低減する可能性を示した.研究IIIでは,単一の蓄電システムを複数の電力取引市場で運用する多目的運用戦略を提案した.本運用戦略では,金融工学のポートフォリオ理論の一つである資本資産価格モデル(Capital Asset Pricing Model, CAPM)を適用することで,運用面の負担の低減を実現しながら,長期的リスクやリターンを定量的に評価することを可能にするとともに,長期間にわたって安定的なパフォーマンスが期待できることを確認した.さらに,提案する運用戦略にアンサンブルアプローチを適用することで,リスクとリターンの予見性を改善した.本論文の第一章では,再生可能エネルギーの急激な導入に伴い,電力システムが従来の集中型から分散型にシフトしている状況や,電力市場環境の変化の見通しについて説明した.このパラダイムシフトに伴い,電気の価値が,発電に対する価値としてだけでなく,発電できる能力に対する価値や,何を原資として得られたエネルギーかを示す環境価値などの多種多様な価値観に分離され複雑化する見通しを示した.第二章では,第一章で説明した電力を取り巻く環境変化の中で,エネルギーサービスプロバイダーに要求される運用制御技術の課題分析を行った.具体的には,DSRの①多様化,②運用効率化,③適用領域拡大,④制御の高精度化,⑤絶対量の増加が必要であるとした.その上で,本研究で取り扱うべき最も重要なテーマとして①多様化,②運用効率化,③適用領域拡大であると説明した.第三章では,①の多様化に関して,新しい蓄電システムとして期待が高い電気自動車(Electric Vehicle, EV)のDSRとしての適用可能性を検証した.本検証は,株式会社NTTファシリティーズ協力の元,400V級の直流給電方式を採用した新しいVehicle to Building(V2B)技術の活用により,電気自動車がDSRとして将来創設される新市場に適用可能である見通しを実験的に確認した.第四章では,②の運用効率化に関して,需要家のBehind-the-Meterに太陽光発電と蓄電システムを有する低圧需要家を対象に,天候による正味負荷電力の長期的変動性を考慮した新しい運用戦略を提案し,需要家内における再生可能エネルギー比率の期待改善効果を数値解析により導出した結果を確認した.第五章では,③の適用領域拡大に関して,エネルギーサービスプロバイダーが保有する単一の蓄電システムを,電力卸取引市場の複数のサービス(商品)を対象に電力供給し,対価を得る多目的運用戦略を提案し,一年間のパフォーマンステストを数値解析に行うことでその有効性を確認した.第六章では,第一章から第五章に論じた内容を基に,電力を取り巻く将来の環境条件を考慮した上で,新しいDSRの適用可能性を明らかにしたこと,運用面における効率化や適用領域拡大に資する運用制御技術の提案と有効性を確認したことについて総括した.本研究では,将来の電力システムや電力市場環境下での新しいDSRの適用可能性を明らかにするとともに,運用面における効率化や適用領域拡大に資する運用制御技術の提案を行った.今後,再生可能エネルギーの導入促進に伴い大いに貢献すると期待される., 九州工業大学博士学位論文 学位記番号: 生工博甲第430号 学位授与年月日: 令和4年3月25日, 令和3年度}, school = {九州工業大学}, title = {需要家側蓄電システムの運用制御技術に関する研究}, year = {}, yomi = {ユアサ, カズフミ} }